その日は夜になってこのノートを記した

初夏の芝生に寝そべり、
歌声を聴いた。
帰らざる午後、帰らぬものを
決して帰りはしない声を聞いた。
今、夜になって寝静まった家で
私は独り感慨に耽る。
〝オールドファイターズ・ラグタイム・バンド〟――
そんな言葉を思い出しながら。
(換気扇の下、壁際にミンジュが活けた花が
 早くも萎れ始めている…。)
眩しい青空に白雲はゆったりと流れ、
私は草に寝そべり歌を聴いた。
柔かな風が頬を撫でて過ぎもし、暫くは
会わなくなった友人たちを思い起したりもしていた。

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