循環

ニュータウンの内部を
ぐるぐると巡るバス――、
私は車路に出て、その青いバスを待っていた。
小新シャオシンは歩道で、
拗ねながら何か看板を蹴っている。
あと半月もすれば、
梅雨に入るだろうが、
そんな兆しもない、今日の空だ。
雲一つない晴天・・・。
タウンの外れにいて、街区に面した
畦田が見渡せた。
畑と遠い山々、堤防、――その下の旧くからの家々。
五月は眠っている月だ。
五月は眠っている月だ、と、
そんなことを、私はふっと考える。
或いは、自分が深く眠り込みたいのか。
並木を抜けて、その青いバスがやって来る。
日差しの中、小新が蹴っている看板。
私はICカードを取り出し、小新の名前を呼ぶ。
メタセコイア、―― イーサ引っ越しからひと月。
午後になって、微かな風が出ていた。
二時のバスが来る、蒼い並木を抜けて。

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