書式

深夜に香るコーヒーを思え。
それをゆっくりと啜る私を。
真昼の喧騒で憔悴し切った
まだ若い妻を隣室に眠らせ・・・。
(張り詰めた夜の気配の中で
 一人ワードに向かう私を。)
流しのシンクには汚れた皿が
山のように積み重ねられ、
今日も終わらせられなかった仕事。
明日になれば早くに目覚め、
夜明けと共に活動を始める私を。
束の間の眠りの前に、熱いコーヒーを
私は淹れ、このノートを認める。
カフェインは大して効かず、
やがてノートを閉じれば、すぐに落ちる眠り。
そんな夜のコーヒーを君は思え。
遠いあの都市に暮らす君は。
これは君に宛てた書式、
腑甲斐ない私なりの
それでも信念に関する手紙だから。

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