影と五月の底を歩む

 

僕が五月の中を歩むと
影が五月の底を歩む

最悪の時代に僕たちは生きてるっていう

修正はきかない
なかなか残念ながらね

ヒバクってなによ
野良猫が見上げる

ともだちが新聞をやめたっていう
テレビを捨てたっていう娘もいる

そりゃそうだよね
野良猫が淡く笑って立ち去る

だいじな人はもう何人も死んだ
核ヒバクじゃないけどね
なんていうか
時代にヒバクしてたっけね

みんなとても素直だった

そうだ詩を書こうと僕は思って
古い玄関のドアをあけた

そうだせめて詩を書こうと思って…

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