まだできるはずだから と
積み上がる紙の束
まだ闘えるはずだから と
わたされる栄養剤
くたびれて
心も体も
鈍くなる
疲れているのに
目が覚めて
することもないから
庭へ下りる
ふと見た先で
蛙が赤い実を
飲み込もうとしている
「あの蛙の後をつければ
別の世界に行けるよ
行ったらいいじゃない」
傍らに来た犬がささやく
「大丈夫
この世界で頑張るよ
私は此処にいたいんだ」
犬の頭をなでる
なまあたたかい風が吹く
私は此処にふみとどまる
オマージュ1974
写真家 小野知子の「お」、切り絵作家 竹本万亀の「ま」、歌人 榎田純子の「じゅ」をとり、北海道の地に1974年に生まれて育ったという偶然を記念し、名付けました。
それぞれの作品に敬意を表しつつ、3人でコラボレーションして作った作品を発表します。
*この作品は、本『片隅寓話』発売記念としてRANGAIの臨時ギャラリーに発表しています。