ki01 lit

まだできるはずだから と
積み上がる紙の束
まだ闘えるはずだから と
わたされる栄養剤

くたびれて
心も体も
鈍くなる

疲れているのに
目が覚めて
することもないから
庭へ下りる

ふと見た先で
蛙が赤い実を
飲み込もうとしている

「あの蛙の後をつければ
別の世界に行けるよ
行ったらいいじゃない」
傍らに来た犬がささやく

「大丈夫
この世界で頑張るよ
私は此処にいたいんだ」
犬の頭をなでる
なまあたたかい風が吹く
私は此処にふみとどまる


オマージュ1974
写真家 小野知子の「お」、切り絵作家 竹本万亀の「ま」、歌人 榎田純子の「じゅ」をとり、北海道の地に1974年に生まれて育ったという偶然を記念し、名付けました。
それぞれの作品に敬意を表しつつ、3人でコラボレーションして作った作品を発表します。
*この作品は、本『片隅寓話』発売記念としてRANGAIの臨時ギャラリーに発表しています。

作品リスト

榎田 純子

榎田 純子(えのきだ じゅんこ)

この作品『庭』の詩を書いた人。
『片隅寓話』では、14編の物語と短歌を書きました。

竹本 万亀

竹本 万亀(たけもと まき)

この作品『庭』の写真の中の切り絵を制作した人。
『片隅寓話』では切り絵による14編の物語の挿絵と随所に顔を覗かせる生き物の切り絵を制作しました。

小野 知子

小野 知子(おの ともこ)

この作品『庭』の写真を撮った人。
『片隅寓話』では裏表紙の写真を撮影しました。

ページの上部に戻る