向日葵   小坂井大輔

産声を上げる前にと渡された契約書の字の細やかなこと

みんなおはよう焼きおにぎりのような鳥おはようみんな光まみれで

手紙ではどうでもいい言葉達が体育座りで眠っています

欲しい物リストに入れておくサクラクーピーペンシル缶の入れ物

愛、地球、宇宙、母親、咳ばらいひとつしてから並びかえてく

たまに何かに取り憑かれたように鏡で後頭部とか見ようとしている

親戚の子供に舞妓さんが何故白いか聞かれて答えられない

人間は脳があるので向日葵のように見上げて暮らせないのです

ありがとう大丈夫です生きてます無駄に明るいですね皆さん

挨拶はしたくないので知り合いはなるべく遠くの方で見つける

この人の声は眠たい。そういえば今日は誰とも喋っていない。 小坂井大輔


*Comment*

青年は、たいてい俯いて悩んでいます。
青年は、他人と目を合わせられなかったりします。
青年は、なにかを成し得るはずの自分を持てあましているのです。
青年は、他人に理解されないと思っています。
そうして青年は、短歌を詠んだりするのです。

コメントにはそぐわないかもしれませんが、小坂井さんの短歌「向日葵」を読んで、上記のような詩ができたので、一緒に掲載させていただきます。

(榎田純子 2015.11.15)

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