「また無断欠席かよ」というショートメール無視して揺らすブランコ
隣では歯のない爺さんが空のペットボトルに水を入れてる
ステッカーを貼られまくった原付の横で悲しいわらび餅食う
瓦礫から伸びる右腕こんなにも空の青へと抱くジレンマ
髪型がみんな違っておそろしい生まれ変わったらシャツになりたい
かっこいい人とは絶望的な差がうまれるズボンの裾の曲げ方
なんとなく家を出るとき必要な気がして持ってきてたサイコロ
前世は二十歳で死んだ絵師 今は靴に入った小石ぐらいの
いくらかのお金を手渡したあとに寄り添い歩くカップルを見た
おからだけ欲しいのですがと叫んでも反応がない豆腐屋を出る
飼っていたウサギは脚で人参を蹴るやつだったが今はもういない
目がとても三角でした店長は言葉ではなく 通信カラテ
よく見たら意外と生命線なくて思わずペンで軽くなぞった
真夜中に誰か呼ぶ声 さり気なく置かれた花瓶の中の水です
日本という国からみれば不誠実なわたしは風のような当たり屋