『春夏秋冬』    如月 八雲

春は夏に恋焦がれ
(海の潮騒 綺麗な花火も焦燥の想いで)
夏は秋を待ち侘びて
(紅葉樹林の羽衣 見たさ)
秋は冬に愛を囁き
(雪が生まれる音を聴きながら)
冬は春を呼び覚ます
(櫻雪を早く見たいと)

人は寄り添い 時に別れ
(全てが戯れの中の偶然で)
悲しみも喜びも怒りも愛も
掠めあう季節の 流れの中で
産声をあげる

暖かい揺り篭の中で
生命が育ち始める頃
人は 儚くも強い夢の誕生を待ち侘び
暖かい揺り篭の中に
生命が還り始める頃
人は 強くも儚い夢の終焉を看取り
季節は人を 人は季節を
抱きしめながら 旅をする

人は人に恋焦がれ
(春に芽吹く命の輪廻)
人は人を待ち侘びて
(夏に彩る魂の合唱)
人は人に愛を囁き
(秋に実る絆の果実)
人は人を呼び覚ます
(冬に育てるは 希望の夢!)

20160318


*Comment*

偶然乗り合わせたバスの中で、父親から「合格おめでとう」というメールを受け取った少年が居ました。
努力がむくわれた少年の照れくさそうな笑顔。
でもきっと彼のむこうには、沢山の涙をのんだ少年少女がいることでしょう。
春夏秋冬、人生の季節の中にはいろいな事がありますね。
もしもいま不本意な場にいるとしても、君が置かれた場は、君の力を必要として君を呼んだのかもしれない。
やって来た季節の中で何が出来るか、季節ごとに、その季節を生きてゆくことに力を注ぎましょう。
人生の終わりに「なんだかみんなおもしろかったよ」と笑えるように。
そんな気持ちを改めてふっと思い出させてくれる詩でした。
八雲さんありがとう。(2016.3.18 早坂類)

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