早計層 詩集 『昨日の明日は母星へ』・『はるまげ』・『痩せても龍』


『昨日の明日は母星へ』

美しくない人だけがかわいい今日
さっき食べたものを食べて映画館に行くよ
足がないから爪ばっか見ちゃうけど
午後の雪はなんか完全に失ってんね

疲れた罪で
瞳が窓にくっついて音楽が流れること
許した覚えないないないのに
どうして友だちの犬は増えんの
吠えると飛ぶ部屋に煙をほろほろ呼んで
匂いで生きてたんだって思えたら
前髪は石になるに決まってるし
もう標識に座りこんじゃう

きっとすべて涙の中なんだ

自分より車のほうが多くて
孤独はガスくさい

愛されるタイトルになりたかった昨日
雨の推理小説に少し救われたはず
屋根
安直な貧困でしょ
でも恋は進んでく
傷ついた道路を不自由にいじめて
衰弱が大好き
祖母は好き
チケットに指先の血をつけるの
ハンドクリームに宿る魂のために
手紙を書き続ける日常はカットかなあ

子どもをつくらずに終わる物語なんて
大量生産の嘘だ

ほんとはもっと星を成長させるべきで
帰宅部みたく無表情のまま
素直に死ねなくて
ボツになった結末として
唯一のマフラーを主人公に贈ろう
あれ梅酒だったっけ
明日の寒さがとてもあいまい

時よ溶けて
夢以上に青く
楽しい涙の外へ

『はるまげ』        

禁断のきみは人類
でも愛は違うんだって
ピンクミサイルが突破してく
秒速は仮で
証明は後で
いつものコーヒーと一緒に
神さまの動画を見てる

六月は
えいえんしかないね
森ん中の犬が言ってくれたこと
しかなかったよね

もしも
川沿いの選曲で
たすけられたら
遠くっぽく地下鉄をつかんで
すごいアニメになりたい
で運命的に負けても
うける砂漠を教えて
今という密室にも
カラスはいるから
好きだし
最低限わたしを学ぶよ

きっと水族ぞくぞくぞくぞくぞく
しない少女
いない少年
リアル海って死ねのように
天使のつながりだけ忘れたわ
帰んないで

最終回は約束通り
裸の電線が目にかかって
ねえ怨霊さん
狂信は星になるのに
なんで二つ名は叶わないの
百年後の春まで
やんなるるーあーん

いきなりできそう

『痩せても龍』

夜明け前は首飾りです

割れたからだに映る赤信号じゃ
車椅子を壊せなくて
まさか傘の中で生まれる声
わかんねーきみがいることなんて

春前は鳥肌でした
あきらめて歌っています

歌詞は人格を傷つけてく
なんでよくねむい
むい
いらない窓の反響とかが
歩道橋にたまってくんで
短い舌で検索しなきゃ
わたし目の下が青くなーる

大空は黒い犬を失い続けます

ぱちんこの老人?外人?東南?
とすれ違う風を保存してみたけど
宇宙服のせいで
特に死ぬことなく
すっ飛んだわ

結局金
彼方が芸術ならいいのに

神さま走って

肺は森の外で爆発して
たんぱく質みたいな
自社ビルにいた

ここにいないことさえ守れない首飾りで
ここにいないことだけを守れたら
朝焼けも単語も地霊もゆるさない

おーとらすとらすとみー
買った謎の牛乳を置いてきます

じゃなくて渡したいよ
まともな
みんなの死体をのせる龍に

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