花嫁

花嫁から電話があって、
私はタクシー・ドライバー。
攫いに来て欲しいの。
ふわふわしたドライヴ。
雪の上がった駅で
何を見ていたのだろう?
びっしりと皮に覆われ、
逆さまになった磊落。
本当のことを
言ったところで
美しいお前は
何も信じない。
だから言ってやろうか。
いけばいいんだろうゆあん。
ゆあんとおれは
ピストルを手にした
みたいにギアを入れる。
どちらまでです?
あんたが告げるほんとう、
それを聞きたいほんとう。
ラジオがヴィヴァルディを流す。
雨が一斉に上がる。

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