「竹本万亀個展・紹介文/榎田純子」
2012年11月日曜日
釧路の駅を出ると
雨が降っていた
(今年、最後の雨だ)
寂れた市街を抜け
幣舞橋を渡り
坂道をのぼる
住宅街をぬって歩く

旧五十嵐邸
軒先に入り
傘をたたむ

のれんをくぐり
引き戸をガラリ

蛙からご挨拶
これはどうもと
口角あがる

たしかにまるく
鳥に守られ
蛙が孵る

そっぽを向いた
二匹の猫が
招き入れる

居間に生き物
わさわさと居る

光の方へ
緑の方へ
這いのぼる

えっちらおっちら
進む進む進む

飛び込んでくる
躍動

跳ね返りて
ケロと鳴く

虚空に向かって
跳ねる跳ねる

上へ上へ
漕いでいく

丸めたカラダで
やぁこんにちは

出会ったからには
おどろおどろおどろ

泡のみ込めば
カラダもシャボン

草葉の陰で
おどれおどれおどれ

集えまじわれ
まるくなれ

そっくりでしょ
カエルカエルカエル

したたる気配に
眼はそらせない

明るい小部屋で
跳ね回る

なんて素敵な
花模様

暗い小部屋で
ゆらゆら揺れる

蝶の羽 ひらひら
花文様で擬態

ここに住まうもの
勢揃い

親子でしょうか
よく似た葉脈

君の名を
問いかけ閉じる
お招き感謝
「釧路市立美術館マチナカギャラリー 旧五十嵐邸+竹本万亀」 より
(切り絵/竹本万亀 紹介文/榎田純子)
釧路市立美術館マチナカギャラリー;釧路市立美術館まなぼっと開館20周年を記念し2012年10~11月に開催されたイベント。釧路市内のギャラリーや喫茶を会場に釧路ゆかりの作家の個展が同時開催された。「旧五十嵐邸+竹本万亀」では、昭和24年に建てられた釧路市富士見の古民家 旧五十嵐邸に釧路市在住の作家 竹本万亀の切り絵作品が展示された。
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