飛び入り作品*柔らかい機械の鸚鵡さんの短歌「おおよそ死についての」

生まれたてのノートの余白に自分の名を墓標のように刻んでおきます

マジシャンの口からはみ出す万国旗にわたしの遺影をひとつまぜたい

フィルターがたばこを吸うたびいろづいてだれかの生きてから死ぬまで

さざんかの首ひとつ落つ夜の音 きけばそれを幸運とよびます

あなたの手でつみ取られた木苺は死んだことにも気づかぬだろうよ

生きて、と聞こえたような気もしたがコンロに鍋をかける音だった

換気扇の断末魔の下たたずんで弔いのように吸いました 煙草

愛が目に見えぬのならば幽霊もわたしは愛と呼んでおります

パチパチと爪の命を刈り取ってペディキュアをした足の美しい

ゆびさきでつついてみればまるくなるダンゴムシのごとく万物の死

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