さをりさんから新しい詩が届いたので掲載しました。彼女の詩についての解釈はあえてしないでおき、読者の魂に委ねようと思いますが、読みながらふと思い出した風景がありました。よく散歩をする公園の脇に一つの碑があります。その碑に掘られた文字は読めないほど風化していますが、「文化・・年」という部分だけは読めるのです。その碑のそばに、同じように風化した墓石がふたつ寄り添って並んでいます。そしてその墓石の文字も読めません。ただ「文化・・年」と彫られた碑と同じ時代の墓石であることはほぼ間違いありません。周囲には新しい時代のお墓も建てられていますが、そのふたつの墓石だけ片隅に打ち捨てられたように寄り添って風化しています。文化・・年と言えば約200年前、1804年から1818年の間の時代です。当時は土葬ではなかったでしょうか。ビル群の中、200年前に葬られたかたちのまま、この時代までポツンと取り残されているのだとしたら、かえって何か幸せなことではないかと思い、公園のベンチの下に咲いていたカタバミの花を供えました。その風化した墓石のことを何故かしらふと思い出したのです。その理由はうまく言葉にできませんが、これらの詩とどこか遠く繋がっているように思いました。(類)
2024/2/9