明日も生きておりませう

スニーカーの踵を踏んづけて
走って行った待ち合わせ先で
大口開けて笑ったら
女のくせに
と、窘められた

電話を受けて久しぶりに
紅などさして出掛けた先で
煙草をぷかーっと吸ってみたら
母親のくせに
と、咎められた

女のくせに
母親のくせに
だから何だと言うのでせう

ちょっと可愛い靴なぞ履いて
手で口を隠しながらおほほと笑って
煙草なぞ吸わずそそとして振舞って
そしたら

女ですか 母親ですか

と、
どうもいけないこれぢゃいけない
こうやっていちいちこころの中で
反論しているところがいただけない

女で母親で だから何
他の誰が何と言おうと
私は女で母親で
そして 一人の人間です

そうそう、そうやって
胸張って、肩で風切って
堂々歩いておりませう。
自分の足で 自分の身体で
明日も生きておりませう。

(写真・言の葉:にのみやさをり)

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